歯並びの種類によって治療法や改善すべき原因が異なります。
まずはご自身やお子さまの歯並びについて、しっかりと理解しましょう。
上あごの前歯の先端部、あるいは上あごの歯全体が前に出すぎた状態で、いわゆる「出っ歯」が上顎前突にあたります。
大きく分類すると骨格性のものと歯性のものがあり、骨格性の上顎前突は下あごに比べ上あご全体が大きく、上あごの歯茎と歯が前方に突き出ており、遺伝的な要因が大きいとされています。一方、歯性の上顎前突は上の歯の傾斜によって出っ歯になっていて、指しゃぶりや舌で前歯を押す癖が原因となって起こります。
幼少期に指しゃぶりや爪を噛む癖、舌で前歯を押す癖などがあると、継続的に力がかかることで、上の前歯が前方に傾いてきたり、下のあごが後ろに下がるなど前後の位置関係にズレが生じます。また、口呼吸によって歯が前に出てきてしまうこともあります。
生まれつきのあごの上下のバランスの悪さによっても出っ歯になることがあります。遺伝的な要因として、親の上あご全体が大きかったり、下あごが上あごに比べて小さかったりすると、子どもが出っ歯になりやすい傾向にあります。
骨格が原因で出っ歯になっている場合は、骨の成長をサポートする治療が必要になります。特に、上下のあごの成長の均衡が崩れている場合は、口腔外科や形成外科などの外科的治療が必要になることがあります。遺伝的要因があるなど、お子さまのお口について不安を抱えている保護者さまは、まずは湘南・藤沢市の清水歯科藤沢院までご相談ください。
あごが突き出て顔の中央部は陥没しているように見える、いわゆる「受け口」と呼ばれる状態です。下あごの骨が発達し過ぎて前に突き出してきている、または上あごが小さすぎる場合に起こります。出っ歯と同じく骨格性のものと歯性のものがあり、そのなかでも遺伝的要因である骨格性のものが多く見られます。
あごがしゃくれてきて聞き取りにくい話し方になるため、社交面でストレスを感じてしまう方が多くみられる傾向にあります。
下のあごが大きい、または上のあごが小さいなど、骨格性の遺伝が受け口になる要因となります。親や親族に受け口の人がいる場合は、子どもも受け口になる確率が上がります。
骨格のバランスは問題がなくても、歯の傾きが原因で反対咬合になることがあります。上の前歯が内側に傾いていて、下の前歯が外側に傾いていると、噛み合わせが反対になり受け口となります。早期矯正治療であごの成長を正しく促すことで改善していきます。
日常生活で無意識のうちに下のあごを前に突き出す癖があると、あご全体が徐々に前に押し出されていきます。また、鼻呼吸ではなく口呼吸をしている場合、舌の位置が不安定になり、下の前歯の裏側を舌で押してしまうことであごを前に押し出す力が加わってしまいます。これらの癖が原因でだんだんと受け口になっていってしまう場合がありますので、普段の癖を改善するよう意識することが大切です。
男の子と女の子で成長度合いに違いはありますが、どちらも思春期の頃になると体の成長にあわせて下あごの骨が急激に大きく成長します。骨格性の受け口の場合、この成長前もしくは成長に合わせた時期に改善していないと、抜歯や顎の骨を削るなどの大掛かりな外科処置が必要となります。そういった体への負担も考えて、骨格性の受け口が考えられる場合はあごの成長に合わせて、早期に歯列矯正治療をはじめることをおすすめします。
歯と歯の間にすき間があいている状態を空隙歯列(くうげきしれつ)と言い、俗に「すきっ歯」と呼ばれています。すきっ歯のなかでも特に多いのが、上の前歯の真ん中だけに2mmほどのすき間がある「正中離開(せいちゅうりかい)」という状態です。乳歯と永久歯が混在する混合歯列期のこどもにも多く見られる症状ですが、大半が永久歯列の完成に伴って自然に閉じていきます。ただし、犬歯が生えた後もすき間が残っていたり、すき間が3mm以上ある場合は歯科医院までご相談ください。
通常よりも歯が小さい(矮小歯)、または通常よりもあごが大きい、生まれつき永久歯の本数が少ない(先天欠損)と、歯のサイズとあごのサイズの調和が取れずにすき間ができてしまいます。
自治体の乳児検診で指摘されることが多いのが「上唇小帯異常」です。前歯の真ん中から唇にかけて続くヒダの上唇小帯(じょうしんしょうたい)が、通常よりも長かったり太く分厚い状態だと正中離開になる懸念があります。成長とともに自然に治る場合が多いですが、永久歯に生え変わっても同じ状態ならば、外科処置での切開になります。
歯と歯の間に隙間がある場合は、話をするときに歯のすき間から息が漏れるため聞きとりにくい発音になることがあります。特にサ行の発音がしづらく、舌っ足らずな話し方になってしまいます。また、歯と歯の間にすき間があることで食べ物が挟まりやすく、虫歯や歯周病のリスクも高まります。
一般的に乱ぐい歯とも呼ばれて、前歯部に見られる八重歯(やえば)もこの一種です。歯の生えるあごのスペースにきれいに並ばずバランスが崩れた状態で、歯が大きかったり、逆に歯が生えるあごが小さかったりすると歯がねじれて生えてしまったり、歯と歯が重なり合ってしまいます。
歯並びがでこぼこしていると磨き残しが発生しやすいため、虫歯や歯周病になりやすいといった弊害があります。
あごの骨が小さいと永久歯が並ぶスペースが足りないため、本来永久歯が生える位置と違った場所に歯が生えてしまうことがあります。また、あごに対して永久歯のサイズが大きめの場合も、永久歯がまっすぐ生えるスペースが無いためにズレて生えてしまうことになります。
乳歯が事故やケガで自然な生え替わりのタイミングより早く抜けてしまうと、その空いた隙間に周囲の歯が移動して、そこに生えてくる予定の永久歯のスペースを奪ってしまうことがあります。そうなると正しい位置に永久歯が生えることが出来ず、歯がでこぼこの状態になってしまいます。
歯と歯が重なりあった部分は歯みがきの際に磨き残しが発生しやすいため、歯垢や歯石などの汚れがたまっている状態が続いて菌が繁殖してしまい、結果的に虫歯や歯周病になりやすくなります。お口の清掃がしっかりできないと口臭の原因にもなり、将来的に歯を失うリスクが高くなります。
奥歯でしっかり噛めているのに上と下の前歯にすき間が空いて咬み合わない状態で、オープンバイトという言い方もあります。指しゃぶりや舌で歯を押してしまう癖や、口呼吸などが原因で起こることがあります。
また、遺伝的な原因で骨の発育が悪いと開咬になってしまうことがあります。奥歯だけが咬み合うので奥歯への負担が大きくなり、歯のすり減りや破折の恐れもあります。
日常的に指しゃぶりを行っていると、歯が動いてしまうことがあります。指しゃぶりは前歯に指を押し当てた状態が続くので歯に負荷がかかり続け、指の力で少しずつ歯が動いていき、結果的に、上下左右に歯が開いた状態になってしまいます。
また、無意識のうちに前歯を舌で裏側から押してしまう舌癖があると、内側からの舌の力で歯が外側に開いていきます。
通常、あごの骨は横に広がっていきますが、下に向けて成長してしまうことがあります。そういった骨格性の要因は遺伝である場合が多く、親や親族に開咬の人がいる場合は、子どもも開咬になるリスクがあります。
唇を閉じにくく、口が開きがちになるためドライマウス(口が乾いた状態)になります。そうなると唾液の分泌量が減少し、口腔内に細菌が増殖しやすくなるため虫歯や歯周病、口臭の原因になったり、乾燥状態のため舌の痛み・ひび割れが生じることも。また、常に奥歯で物を噛むためあごの関節や筋肉が疲労しやすく、顎関節症になりやすくなります。
交叉咬合はクロスバイトとも呼ばれ、主に奥歯で上下の噛み合わせが正常な場合と反対になってしまっている状態です。前歯の中心がズレることもあります。左右のあごの成長過程の差や、歯の生えてくる方向の差、遺伝的要素からくるあごの骨の歪みなどが原因でこのようなトラブルが起こってしまいます。
あごをずらして噛んだりするため片あごだけに負担がかかり、顔の歪みや顎関節症を引き起こすことがあります。重度の交叉咬合や顎変形症と診断されたら大掛かりな外科処置となる場合もあるので注意が必要です。
頬杖はあごに偏った負荷をかけるため、噛み合わせのバランスを悪くし、あごの成長に悪影響を与えます。また、口呼吸や舌癖なども舌の定位置を乱し、あごの変形やひずみを招く原因になります。
左右にずれた噛み合わせから、顔が曲がって歪んでしまうことがあります。(顎変形症)特に成長期にあごがずれている場合は正常な成長を阻害し、どんどんずれが大きくなる恐れもあります。一見、前歯の歯列は綺麗なので見落としがちですが、正面からお子さまの顔をしっかり確認して、左右のずれがないかチェックしてみてください。